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「天命」については、故宮崎市定京都大学名誉教授が、自著「現代語訳 論語」で詳しく論ぜられておられるが、その是非はともかく、学者の良くない所は、具体論で考えないことにある。 すなわち、 「50歳前後に孔子が天命と悟った出来事とは何か」 という問いに答える必要がある。 答を言おう。史伝が正しければ、このような結論にたどり着ける筈である。 「天は孔子に、政治に携われと命じた」のである。 孔子は確かに教育者であった。このことは宮崎教授、諸橋氏を含め、各氏の見解は正しい。 しかし、今までに説明したように、孔子の出自は「奴隷(=臣)」である(尤も、生誕時は有力者の子供であったが)。 教育者になることも、ご主人様の命令、意向によるものである。 換言すれば、政治に携わることは許されなかったし、本人も考えたこともなかったと言える。 それが今、50歳で図らずも、季孫子の部下(内臣)として政治を担当することになった。 何という皮肉。奴隷に落とされた子が、長じて政治に携わることになったのである。ただし、あくまで内臣として。裏の権力者として。 従って、「五十而知天命」は、次の様に解釈せねばならぬ。 「50歳になって、思いがけず政治の世界に身を置くことになった。」 波乱万丈。これ以外に形容する言葉がない。 (続く)
by 2-shikou
| 2007-12-27 21:45
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