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「子曰、爲政以徳、譬如北辰居其所、而衆星共之、」 今回は、「徳」とは何かを解き明かします。 辞書には、その原意として、「儀式の場所に上ること」と説明されています。 それでは、儀式で最も重視されるのは何でしょうか。 「序列」、そして「排他」です。 日本の葬式や法事でも、出席者の座る位置は自然と決まります。 それから、当たり前ですが、関係者以外の出席は許しません。 とすれば、「徳」とは具体的に、当時の政治用語でどういう意味を持っていたのでしょうか。 大は、当時の国際関係を踏まえれば、「周を中心とした不動の序列」。小は「各諸侯から核家族に至るまでの、それぞれの序列」ということになります。 「古来からの慣習に基づく、変わることのない秩序、身分」という意味を持ちます。 ですから、孔子は分かりやすいように、北極星とそれを周回する星に譬えたのです。 従って、「秩序の固定」、これが「徳」です。 次に、「徳」の適用範囲はどこまででしょうか。 姉妹編の「春秋編」で、「中原」と言う概念を、「周」「鄭」「陳」「蔡」「衛」「宋」「魯」の七カ国を指すと定義しました。 では、後の覇者になる「斉」「晋」「楚」は入るのでしょうか。身内扱いするのでしょうか。 これらは範疇の外にあると考えられます。 以上を踏まえると、次のような結論に達します。 「徳とは、古来から中原文明において存在する政治慣習を採用している、七カ国による統治形態」と言う意味になります。 (続く) 追記 「春秋の風 論語の心 孔子の生」の「春秋編」、「論語編」、「孔子・弟子・家族編」を、宮崎市定先生に捧げます。
by 2-shikou
| 2008-01-05 23:12
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